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先輩と3月半ばごろにちょっと喧嘩した。ここでいう先輩は職場の先輩だ。3月半ばの繁忙期だというのに私は暇だった。毎日毎日なんのために出勤してるかわからなくなった。出勤するだけでも疲れるので、家のことまで手が回らず、部屋は汚くなる一方だった。それが嫌だった。仕事がないなら家に帰りたかった。

先輩とお昼ごはんを食べながら、することがなくて困ってて、「わたしいらないんじゃないかと思います」と言った。そしたら先輩が「そういうのキライ」と言い放った。私は先輩からのキライにびっくりしすぎて返事ができなかった。キライって直接言われたらこんなに心に刺さるものなんだなと思った。

その話をなんとかやり過ごしながら考えた。確かに先輩はめちゃくちゃ忙しいのに、こんなときに後輩から暇すぎるわたしいらないんじゃないか、みたいな弱い言葉を投げられたらいらいらするかもしれない。けど、先輩はわたしの気持ちや立場がわからないし、わたしにも先輩の気持ちや立場はわからないから、分かり合うのはむずかしいかもしれない。だけど、それを埋めるために言葉があるはずであって、ていうか先輩は自分はいなくていいとか、そういう気持ち持ったことないんでしょ、自己肯定感半端ねえなキラキラ女子め!くっそー!!!!と思うと泣くしかなかった。先輩はもうインスタグラムの話をしていたので、びっくりしていた。そのとき考えていたことは言えなかった。暇だと他の人の嫌なところばかり目について辛いですとか、重要だけどいまこの時点では重要じゃないことを言った。

そのときのことを今思うと、ただ甘えてただけだった。ひとつひとつをできるだけ完璧に仕上げるようにするとか、もっとやれることはたくさんあった。仕事したくないからって言い訳だけを並べ続けてたなと思う。反省した。

4月の頭、先輩が酷い体調不良で4~5日休んだ。先輩がいないことなんて今までなかったから、変な感じだった。小さな部署で働いていて、身近な先輩はこの人だけだったから、細々した困ったことはぜんぶこの先輩に聞いてもらっていた。でも先輩はいない。変な感じだった。わたしは、先輩がいなくても、ひとりでできることをしなくっちゃと思った。前みたいに、甘えてる場合ではなかった。

久しぶりに先輩が来た。私はおかえり~!と迎えた。ほっとした。お昼ごはんの時、先輩は「わたしがいなくても仕事はまわるもんなんだね」とぽつりと言ったので、咄嗟に「わたしの気持ちがわかりましたか~!」と言ってしまった。そしたら「うん」と先輩は笑った。

わたしも先輩のあのときの気持ちがわかった。仕事があろうとなかろうと、そこに座ってくれてるだけでもとってもありがたいもので、安心できるってこと。いなくてもいいなんて言われると結構淋しいこと。あのとき喧嘩と言えるほどでもないけど、喧嘩してよかったな、と思った。いなくてもいいなんて、言うのはもうやめようと思った。事務補助の補助だから、コピーとかファイルの整理とか、小さな仕事がメインだけど、派手な仕事なんてひとつもないけど、自分の仕事はひとつひとつ肯定してあげたい。誰でも出来ることであったとしても。