大森靖子MUTEKIツアー@20171222味園ユニバース

大森靖子ちゃんのMUTEKIツアー@味園ユニバースに行ってきた。9月に発売された「MUTEKI」を引っ提げたツアーで、今回のツアーは会場にライブハウスがひとつもなく美術館やお寺や酒蔵などで行われるものだ。いつもと違った雰囲気でせいこちゃんの音楽が聴けるのかなあと思いつつも、とにかくこの日まで生き延びるのが大変で、そこまで気が回っていなかった。なんだか色んなことがうまくいかなくて(主に仕事)、泣きながら電車に乗って帰ることも、家で起きた瞬間から泣いてしまうこともあって、なんでこんな思いしなきゃいけないんだろうみたいな日々を過ごしていたので、この日を迎えられたことが嬉しかった。ライブについて考えていたことといえば聞きたい曲のことで、流星ヘブンとか、ノスタルジックJ-POPとか、エンドレスダンスとか、呪いは水色のことを思い浮かべていた。当日は友人と昼から一緒に過ごしていて、この話になったときはコーヒータイムとキラキラと答えていて、思ってたのと全然違う曲を答えてたのだけど、せいこちゃんは本当にいろんなタイプの曲を持っているなあと改めて思った。とにかく私の日々を肯定してほしいという気持ちが強かったのかもしれない。

ライブの日は、ライブはもちろん楽しみなんだけど、他にもいろいろあって、ひとつは友達と美味しいものを食べることだ。今年に入ってよくせいこちゃんを一緒に見に行くようになった高校の友達と合流して、お昼にハンバーグ、おやつにパンケーキを食べた。ただただ美味しくてしあわせだったし、いろんな話をしながら、考えることがとても好きだと思ったし、とても楽しかった。それから会場でもいろんなファンの人に会うのも楽しみで、今回も少しずつだけど、いろんな人と話せたのが嬉しかった。

今回の会場の味園ユニバースに行くのは初めてで、元々はキャバレーだという。(ファンのお姉さんに教えてもらった)階段を降りて中に入っていくと、センターを囲う形でマイクが4本置いてあって、座布団やソファーやパイプ椅子が色んなところに用意されていた。まずどこに座ればいいのかわからなくて立ち尽くしてしまった。どんどん後ろから人はやってくるのに。どこが一番いい席なのか、どこが一番見やすいのか。どこで見たってせいこちゃんの音楽はいいに決まってるけど、できたら表情が見えやすいところがいいなあ、と思いつつ、よくわからないまま座布団の席に座る。照明がぎらぎらしていて別世界みたいで、座ってるだけでわくわくしたし、いろんな会場に行きたくなるツアーだと思った。普段同じツアーに何ヶ所も行きたくなることはないんだけど、今回は初めて他の場所も行ってみたくなった。始まる前からとても楽しい。チケットを買うことは、友達と美味しいものを食べること、誰かに会うこと、始まる前のわくわく感、音楽が始まる前のすべての楽しみにもお金を払っているのだなといつも思う。

物販でエゴサパーカーの実物を見る。写真で見るよりかわいい……!自分の座ってる席の近くに、私の出身高校の制服を着ている女の子がふたりいて、話しかけてみたかったけど、変な人に話しかけられたとかインターネットに書かれるのが怖くてやめた。これから何回か現場で見かけたり、私の知ってる人と話してたりするのを見かけたら、いつか話しかけてみたい。私の通ってた高校は割と窮屈で、あの学校に通いながらせいこちゃんの音楽を聴くってどんな気持ちになるんだろう。

 

開演時間になって、せいこちゃんがステージに現れた。きらきらしたブルーのワンピースで、動物のシルエットが描かれていた。かわいい。今のせいこちゃんくらいの髪の長さの女の人が好き。今回のライブに関してどこから書けばいいのかとても悩ましいのだけど、歌ってくれると思わなかった意外な曲はhayatochiri、このフレーズ美しいなあと新しい発見があった曲は料理長の音楽は豚肉の焼ける音だったと高円寺、一番欲しい言葉が詰まってた曲はあいのう、動画撮影した3曲はhayatochiri、ノスタルジックJ-POP、流星ヘブン。歌ってほしい曲を会場で聴けるのはもちろん嬉しいけど、ライブで聴いて新しく好きな部分を見つけられるのがライブの良さだといつも思う。

1曲目はTOKYO BLACK HOLEからだった。TBHは何度もライブで聞いたことがあるけど、この曲と今までよりちょっと仲良くなれたかもしれないなと思ってから、ライブで聞くのは初めてだった。
(しばらく回想)そう思ったきっかけは、少し前に東京に出かけたときにお台場からゆりかもめに乗ったときだった。初めてのゆりかもめだったんだけど、外を見ていたら私の行動範囲内の街では有り得ないくらいのビルがひしめくように並んでいてすごく驚いて、外は真っ暗なのにビルの電気はたくさんついていてキラキラしていたときに、「はたらくおっさんでぼくの世界がキラキラ」を思い出した。何度も聴いてるフレーズだけど、これを聴いて私がいつも思い浮かべるキラキラの何倍もたくさんのキラキラが目の前にあった。せいこちゃんが歌ってるキラキラの数はこれだったのかと思った。それから、電気のついてる部屋の中には夜遅くまで働いてる誰かが数えきれないくらいいて、ひとりひとりの人生は大切だよって、「人が生きてるってほらちゃんときれいだったよね」って誰かが歌わないとあっという間になくなったり見知らぬ人にポイって捨てられたりするくらい、とにかく人の多い街なのかもしれない、と思った。(「今すぐ消えちゃうすべてを歌ってくのさ」だもんね)東京の人の多さにビビりまくる旅行だったから、東京に来ないとわからないことだったし、気づけてよかったと思った。最近は新しい曲がまたたくさん出てきてるのもあって聴かなくなってたんだけど、こんな発見があってから、仕事で理不尽なことがあったり行くのいやだなあと思ったときにTBHを聴くようになった。(回想終わり)

「朝には朝の夜には夜の挨拶を愛し方を繰り返すだけ」がじーんときて、積み重ねって大事だし、一番強いものはやっぱりそれだなあと思った。初めて聴いてからもずっと好きなフレーズで、やっぱりここが好きだなあ。
せいこちゃんの歌を聴くときに(というかどんな歌でもそうなんだけど)、一つ一つのフレーズで自分に思い当たることや自分が体験してなくても想像できるエピソードがあると入り込めるんだけど、それが見つからないと全然わからない歌のままで終わってしまう。TBHはたぶんまだわからないところもたくさんあって、せいこちゃんの歌を聴きながら日々を過ごしていくうちに、少しずつ分かっていけるような歌なのかもしれない。

一曲目だけでだいぶ気持ちが持っていかれたんだけど、今回は割と昔の曲が多くて、新しい発見が多かったのが楽しかった。料理長の音楽は豚肉の焼ける音だったの「もっともっともっと遠くまで はやく音楽になりたいよ」、高円寺の「夢みる 働く 忘れる忘れる 東京やのにね おかしいつまらん」、あいのう(あいのうはじめて聞いた気がするけどめっちゃいい曲だったな……)の「私のことは私が守る」「君のことあたしが知ってる」。気づいてないだけで素敵な言葉がまだまだたくさんあるんだなあと思ったし、これからも発見していきたいなあ。あとはあまい〜over the partyと続いて、絶対少女は教習所に行くときにめちゃくちゃ聴いてたから、なんとなく教習所に通ってた時のことを思い出していた。新曲二曲も歌ってくれてめちゃめちゃよかったので、歌詞をじっくり読みたい。

歌以外のことでは、MCが今回割と多くて、大阪は喋りやすいって思ってくれてたらいいなあと思いながら聞いた。相撲は初めて見たんだけど、意地悪な先輩を倒したい!と言っていた女の子がめちゃめちゃ可愛くて、みんな倒したい誰かがいるんだなとちょっと勇気をもらった。私は理不尽な仕事を倒したいよ。
今回せいこちゃんを囲って座るような席になっていたので、私の席からもたくさんのお客さんの顔が見えた。せいこちゃんがお客さんの表情を見るのが好きだという話をよくしていて、確かにいろんな顔で聴いてて、どんなこと考えてるか知りたいなあとか、どこでグっときたか教えてほしいなあと思った。泣いてる人を見かけたらあ〜〜!!泣けるのわかる!!!私もここ好き!!!!みたいな気持ちでその人を見たりしてしまった。

あっという間の2時間半だった。明日の実験室羨ましいなあと思いながらもつけ麺でシメて帰宅。せいこちゃんのライブの日はお祭りだ。とっても楽しい1日だった!来年も(年が変わってしまったから今年だけど)たくさんせいこちゃんに会いに行けたらいいなあと思う。