スープカリイ

1/21

パパの大好きなカレー屋さんのこと、パパがあっさりなこと、インドカレーを初めて食べたことについて。

 

パパの大好きなカレー屋さんが閉店するとパパから聞いたのは3週間くらい前のことだった。学生の頃から通っている大好きなスープカレーのお店。私も一度だけ連れてってもらったことがあるけど、もう7年くらい前のことでよく覚えていないし、そもそもそんなに好きにはならなかった。なんとなく覚えているのは1200円くらいするスープカレーとライスのセットを食べたことだ。その時のわたしには1200円出してカレーを食べることがよくわからなかった。私の反応もよくなかったからか、パパとここに行くことはもうなかった。

 

そんなパパに先週、ここのカレー屋さんに行こうよと誘われたけど、私はやっぱり乗り気じゃなかった。7年くらい前のうっすらした記憶で判断するのもどうかと思ったけど、その時の私はカレーよりバケットのシュガーボールが食べたかった。だけど、パパの大好きなお店のことを悪く言うのは気が引けたので、そんなに好きじゃないからとも言えなかった。結局、くまが食べられるかわからないしお子様カレーないとちょっと取り分けもめんどくさいからパパだけで行ってきなよ〜と言い訳をして、パパだけで行ってもらった。帰ってきたパパはお子様カレーあったからくまも食べられるよ、来週行こうよ、と言った。私はやっぱり乗り気じゃなかったけど、いつも私ばかりが行きたいところや食べたいところに行ってて悪いなあと思ったので行くことにした。

 

その日が今日で、お店の最後の日だった。お店の看板にスープカリイと書いてあって、なんだかおしゃれだった。開店時間を少し過ぎたくらいに行くと、もう人だかりができていて、50人くらいがお店の前に並んでいた。こんな並んでるお店だったっけ……と驚きつつも列に並んだ。10分くらい経って、パパが「今日は諦めようか」と言い始めた。エッまじで今日で閉店やでそんなん諦めていいの、と言い返すと1日50食限定やから並んでも食べられるかわからんし、くまとママ付き合わせるのも悪いし………、えっでもここまで来たのに、パパの友達(東京にいる)ももうここのカレー食べらへんし、食べられへん人はいっぱいいるからいいねんと言って、並ぶのをやめてしまった。

 

駐車場に向かってとぼとぼ歩きながら、私はびっくりしていた。本当にこれでいいのか、と何度も思ったから何度も聞いたけどあっさりといいよとパパは言った。パパには執着心がないな、とときどき思う。絶対にこれがいい!!という気持ちがあまりなく、なかったらなかったでいいんじゃないというスタンスだし、目の前のことをすんなり受け止めてしまう。自分の想像と違って怒るところを見たことがない。たとえば今回も食べる予定だったけど、食べられないなら仕方ないね、とあっさり手を引いてしまえる。先週も食べたからよかったんだろうか。もし私が大好きなお店がなくなるとしたら、絶対もう一回食べたいし、もっと早くに並ぶし、ギリギリまで粘ってたと思う。だからあっさりいいよと言ってしまうパパのことがわからないし、気を遣ってくれたのかもしれないけど、本当によかったのかなという気持ちでぐるぐるした。冷めてるように見えるけど、本当は心の奥底には絶対に誰にも見せないマグマみたいな熱い部分があるんだろうか。パパ、未だによくわからない。そしてたぶんこれからもずっとよくわからない。

 

それから、何食べる?という話になって、インドカレー屋さんに行った。インドカレーを食べたことがなくて、そもそも私は甘口しか食べられない。どきどきしたけど、ちゃんと甘口もあるし大丈夫だよとパパが言うので行くことにした。

長芋と豆のカレーとチキンカレー、ナンとサラダのセットを食べた。ナンも食べたことがなくて、少し甘いことを初めて知った。カレーは甘口でもぴりっとしたので、辛いものを食べ慣れてないんだなと思った。新しいことをするのが苦手で、知らないお店に行くのも気がすすまなくて(パパの行こうというお店は特に)(食の好みがあわないから)(パパだってある程度わたしが食べられるか考えて選んでるのは知ってるけど)、食べたことのないものも食べたくないけど、でも今回はすごく嬉しかったし楽しかった。新しいことっていいな。インドカレー、また食べてみようかな。

 

f:id:sshr31043:20180122081744j:image