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最近、「あっわたし存在感もなくて幽霊みたいだから………」と自分を紹介するときにそう言ってるのを聞いた。「幽霊」「存在感がない」というワードを印象づけるために使ったのかな、と想像した。個人的な感覚だけど、そういう使い方をした場合だいたい悪い方に働く気がする。私は幽霊だなんて思ったことなかったけど、この人は幽霊なのか………と失礼ながら、すこし思った。自分で自分に「わたしは幽霊、存在感がない」という呪いをかけているような気がしてしまった。

そのとき、言霊ってほんとにあるんだな、とひしひしと感じた。それから、言葉が話せるということは、私は自分に呪いでも魔法でもかけることができるんだな。雑にまとめすぎだけれど、自分に言葉をかけられる人間全員魔法使い…………!と思った。

じゃあ自分になんて言葉をかけるといいんだろう。できるだけ新たな呪いはかけたくない。できたら魔法の言葉がいい。

「わたしはすごい!」うーん、使い方を間違えると周りの意見を聞かなくなったり、他人の努力を見過ごしたり、なんだか周りのひとを邪険にしてしまいそうだなあ。そういうのはよくない。なんか、無敵のやつがいいな。

2年くらい前だけど一緒に働いてたひとが、この人ここやめたらどこで働けるんだろうというくらい困ったひとで、いまはもう近くにいないのだけど、「私は新しい職場で活躍しています」と連絡してきたことを聞いた。
活躍しています、だなんて、私は使ったこともない言葉だった。一度でいいからなんの曇りも嘘もなく、言ってみたいと思うけれど、なかなか難しそうな言葉だ。これもある意味この人は自分にわたしは活躍してる、という魔法をかけてるわけなんだけど、私が自分になにか言葉をかけるならできるだけ、現実から離れてないものがいいな。自分で自分のことを活躍していますとはちょっと言いづらいし、だいたい活躍してるしてないは他人からの評価であって、自分で使う時点で使い方を間違えているような気がする、ので私は使えない。

いつどのタイミングで言葉を使うかにもよるので、一概に絶対これ!とも決められない。けど、もう少し言葉を大切にしようと思った。できるだけ誠実でいたい。